御当地通

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トピックス

ご当地検定

地域文化・歴史の伝承の新しいかたち

*以下の記事は2006年1月発行の立命大学、学内報「りつめい」よりの抜粋です。
オリジナル(PDF)はこちらよりご覧頂けます。

戸祭  達郎

立命館大学  経済学部教授

最近、各地で地域の歴史や文化、観光に関する知識を持つ人を認定する「ご当地検定」がブームとなっている。

そのブームのきっかけとなった京都・観光文化検定試験(京都検定)は、昨冬に第1回目の試験が実施され、1万人近くの受験者を集めた。

2回めの今年は、それを上回る1万3千人が受験予定である。

そして、京都検定に続けとばかりに各地の商工会議所で相次いで実施を検討しており、今後更に様々な検定が行われることになっている。

今回は、観光学がご専門の経済学部の戸祭達郎教授に、ご当地検定についてお話をうかがった。

なぜ今、ご当地検定がブームと
なっているのでしょうか?

日本人には「お祭り好き」という特性があり、町や村の祭りや博覧会などイベントに参加したりします。もうひとつの特性が「学び好き」にあると思います。人の知的好奇心が美術館や博物館へ誘い、カルチャーセンターが流行るのはそのためです。さらに一歩進めて、自分の実力を評価され、試してみたいという気持ちを強くもっている。そのことが資格取得や検定に人を向かわせるのではないでしょうか。一方、観光のPR、観光客を受け入れる側では、観光案内ガイドの育成など、観光産業の活性化とその地域の住民が観光客を迎える知識や心構え・ホスピタリティを醸成することによって、地域ブランドの創出や地域を活性化するという狙いもあるかもしれません。従って、検定にはその土地ならではという特色が活かされないといけません。

京都・観光文化検定試験(京都検定)より以前に実施された検定には、沖縄旅行地理検定、東京シティガイド検定、博多っこ検定、秋田のナマハゲ伝統士認定試験があります。最近ではとりわけ京都検定に人気が高く、約1万人が受験し、受験者の年齢層も20代から60代と幅広く、あらゆる年齢層に支持されました。最近では、彦根商店街連盟が11月11日に「彦根城下町検定試験」、11月20日には、金沢経済同友会が第1回「金沢検定試験(通称:金沢検定)を実施しました。今後は福岡(九州観光マイスター)、岡山(文化観光検定)、石川(ほっと石川観光マイスター制度)や長崎、奈良などの商工会議所でも検討され、さらに、京都市においても京都の誇る伝統文化・歴史に興味を持つ子を育てようと小・中学生を対象にした「歴史都市・京都から学ぶジュニア日本文化検定(通称:ジュニア京都検定)」を2006年秋に実施予定です。滋賀県は2006年に実施を検討中です。また、札幌商工会議所では2004年10月に札幌シティガイド検定が実施されましたが、それとともに北海道の食材の生産性などを扱う「北海道フードマイスター認定制度」を2005年12月に導入します。これを機に観光以外の地域検定の実施も検討されはじめています。まさに「ご当地検定」ブームと言って良いでしょう。

ご当地検定の実施によって、
行政や産業にどのような影響がありますか?

行政の立場からの期待は、検定そのものが地域や観光地のPRになるだけでなく、その地域を良く知った人が増えることによって観光客を受け入れる側の意識も向上し、おもてなしの質が高まって、相乗効果により地域のブランド価値が高くなることでしょう。京都検定の場合、都道府県別受験者の割合をみると京都府が70%、大阪府が10%、滋賀県が4%、東京都が3%、兵庫県3%、神奈川県2%、奈良県1%、愛知県1%、千葉県1%、その他5%で関東が7%と受験者が全国に広がっていて、関心の高さがうかがえます。ご当地検定を検討中の全国の商工会議所や県などの関係者が、京都検定を成功の先進事例としてヒアリングのために京都商工会議所を訪ねてきています。もともと京都検定の前には『京のおもてなしハンドブック』があり、会員へのサービス向上が進められてきましたが、今回の検定により、さらに高いレベルのサービス・おもてなしがされ、より多くの人が京都を訪れ、経済効果も期待できそうです。京都商工会議所によると、まだ検定そのものでは、収益が生まれるところまではいっていないとのことでした。

今後、検定はどのように
なると思われますか?

これからは検定に合格した人たちをどのように活用していくかが重要です。合格した人たちは、自分の力をどこかで発揮できる場所やチャンスを求めています。行政側からは合格者を地域の観光人材として観光案内ボランティアや観光プロデューサーとして育成し、従来の国家試験の通訳ガイド試験に加えて、新たに都道府県レベルで実施される「地域限定通訳案内士」資格試験へとレベルアップできるチャンスも生まれ、海外からの観光客の案内もでき、案内分野が広がる可能性もあります。ご当地検定や地域限定通訳案内士が地域の歴史・文化の伝承、観光のサービス人材育成に役立つことになるでしょう。京都検定でも、合格者を対象にブラッシュアップ研修という事後研修を行い、実際に京都の文化に触れることができる機会を設け、定着を図っています

京都歴史回廊協議会では、京都検定合格者に「きぬかけの路」の案内や京都歴史回廊・文化塾の講師としてもひと役かってもらいたいと願っています。最後に、京都検定にはテキストブック共同執筆者のひとりとして本学理工学部教授の山崎正史先生が活躍されたことを誇りに思います。

※取材にあたり、京都検定の推進にあたられた京都商工会議所の堀口亜希子氏('91法)にご協力いただきました。

とまつり  たつろう
立命館大学経済学部教授
[専門分野]
観光学

  • 「博覧会が地域振興に与える影響についての分析」
    (2001年日本観光研究学会)
  • 「旅行療法についての考察」
    (2002年日本観光研究学会)
  • 「旅行は健康を促進する」
    (2005年公衆衛生・医学書院)